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『中道の精神』 ~翠光堂仏壇店~

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仏教には『中道(ちゅうどう)の精神』という考え方があります。

あるご寺院様の冊子に掲載されていた作家のひろさちやさんの文章が、

とても分かり易かったのでご紹介します。

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「暑さ寒さも彼岸まで」と言われています。きびしい冬の寒さも、春の彼岸のころにはずいぶんと暖かくなり、しのぎやすくなります。

ところが、じつは東京や大阪でいえば、春の彼岸のころは平均気温が約10度、秋の彼岸のころだと約20度と、ずいぶん違うのです。これは、厳寒のあとではほんの少し気温が上がっただけでずいぶん暖かく感じられ、酷暑のあとはほんの少し気温が下がっただけで相当に涼しく感じられるからです。

この「ほんの少し」というのが大事なんです。仏教は「中道の精神」を教えています。「中道」というのは、快楽に溺れた極端な生活を避け、また、あまりにも極端な禁欲主義を避けて、ゆったりと生きる生き方です。そのような生き方を仏教はすすめています。

では、ゆったりと生きるためには、どうすればよいでしょうか・・・・。

いま、日本人は、欲に狂って生きています。損をするのはいやだ、なんとか得をしたいと貪欲になり、その結果、世の中全体がぎすぎすとしています。

そんなとき、「ほんの少しの損」をする勇気を持ってみるのもおもしろいと思います。なにもあなたが生活に困るような、そんな大きな損をする必要はありません。余裕のある範囲で、あなたが損をします。そうするとあなたの損は誰か他の人の得になります。わたしは、それが「布施(ふせ)」だと思います。

布施というのは、他人にサービスするというより、あなたがほんの少しの損をすることです。たとえば、満員電車であなたの体力に余裕があれば、座らずに立っています。そうすると座席に誰かが座れます。それが布施なんです。

あなたが周囲の人にやさしい言葉をかけてあげる。あるいはあなたがにこにこと笑顔を浮かべている。そうすると周りが明るくなります。ほんの少し損をする気持ちで、やさしい言葉をかけ、笑顔を浮かべてください。そうすることによって、きっとあなた自身もゆったりとした救われた気持ちになれますよ。

【浄土宗行事シリーズNo.258 ひろさちやさんの文章≪「ほんの少し」の精神≫より】